IN-TOSH(@intosh_redarrow)です。
今回は 黒い羊/欅坂46 でコード進行を学んでいきます。
概要
黒い羊/欅坂46
作詞 : 秋元康
作曲・編曲 : ナスカ
B面 : 「君に話しておきたいこと」(共通)
「Nobody」(Type-A)
「抱きしめてやる」(Type-B)
「ヒールの高さ」(Type-C)
「ごめんね クリスマス」(Type-D)
「否定した未来」(通常盤)
欅坂46の8枚目のシングル。2019年2月27日リリース。イオンカード『U-25 新生活キャンペーン』CMソング。
総合ソングチャート【Billboard Japan Hot 100】2019年3月11日付ランキング1位。

コード譜(フル)
A6(9)・Badd9・|G#m7/C#・G#m7・
A6(9)・Bsus4・|G#m7/C#・G#m7・
A6(9)・Badd9・|G#m7/C#・G#m7・
A6(9)・B・|C#m7・・・
C#m7・・・|・・・・
AM7・・・|Bsus4・・・ ×2
AM7・・・|B・・・
E・・・|G#m7・・・
A・・・|B・・・
C#m・・・|・・・・
AM7・・・|B・C#m・
A・B・|C#m7・・・
AM7・B・|C#m・G#m7・
AM7・B・|C#m・Bm7 E
A・B・|G#・C#m・
A・B・|C#m・・・
AM7・B・|C#m・G#m7・
AM7・B・|E・G#・
A・B・|G#・C#m・
A・B・|C#m7・・・
Aadd9・B・|C#m・G#m7・
Aadd9・B・|C#m・・・
C#m9・・・|・・・・
A・・・|B・・・ ×2
E・B/D#・|C#m・G#m/B・
A・E/G#・|F#m7・D#m7 G#7
C#m・G#m・|A・E・
F#m・E・|B・C#m・
A・・・|B・C#m・
A・B・|C#m7・・・
AM7・B・|C#m・G#m7・
AM7・B・|C#m・Bm7 E
A・B・|G#・C#m・
A・B・|C#m・・・
AM7・B・|C#m・G#m7・
AM7・B・|E・G#・
A・B・|G#・C#m・
A・B・|C#m7・・・
E・B/D#・|C#m・G#m/B・
A・E/G#・|F#m・D#m7 G#7
C#m・G#m/B・|A・E/G#・
F#m7・E・|(2/4) B・
E・・・|N.C.
B♭M7・C・|Dm・Am7・
B♭M7・C・|Dm・Cm7 F
B♭・C・|A・Dm・
B♭・C・|Dm・・・
B♭M7・C・|Dm・Am7・
B♭M7・C・|F・A・
B♭・C・|A・Dm・
B♭・C・|Dm7・・・ ×2
B♭・C・|F・A7・
B♭・C・|Dm・A・
B♭・C・|F・A7・
B♭・C・|F・・・
コード進行 分析・解説
場面ごとに見ていきます。コードはディグリーネームで表記します。
また、ノンダイアトニックコードを赤字で表記します。
楽曲のキーはC#マイナー、Dマイナーです(それぞれEメジャー、Fメジャーと捉えることもできます)。
イントロ
Key = C#m
♭Ⅵ6(9)・♭Ⅶadd9・|Ⅴm7/Ⅰ・Ⅴm7・
♭Ⅵ6(9)・♭Ⅶsus4・|Ⅴm7/Ⅰ・Ⅴm7・
♭Ⅵ6(9)・♭Ⅶadd9・|Ⅴm7/Ⅰ・Ⅴm7・
♭Ⅵ6(9)・♭Ⅶ・|Ⅰm7・・・
( 原曲のキーで見る → イントロ )
同主調のメジャーキーでいうⅣ→Ⅴ→Ⅲmのような進行で、逆循環コードといえます。特に♭Ⅵ6(9)とⅤm7/Ⅰが独特の雰囲気を放っています。掴まれるピアノのイントロですね。
♭Ⅶのコードに関しては、聞こえる範囲で9度や4度の表記をしました。
また冒頭1~2小節間は、ピアノのみのうえに音数が少ないので、上記のコードは無理やり当てはめた感じもあります。
Aメロ
Key = C#m
A-1
4小節の進行を2回繰り返して8小節間のAメロです。
歌などが入ってきますが、特にベースの演奏が印象的です。5小節目にはメロディを伴わない「語り」のような歌詞も一瞬入ります。
進行は分かりやすく、トニック(マイナー)→サブドミナント→ドミナントの循環コードです。同主調のメジャーキーではⅥm→Ⅳ→Ⅴにあたります。順次進行ですね。
A-2
1番と2番で展開が全く違うのがこの楽曲の特徴の1つといえます。2番のAメロは前半4小節、後半8小節の計12小節です。1番のサビの直後に始まります。
前半4小節は、そのサビの最初と同じ進行です。ラップのような部分になります。
後半8小節は、4小節の進行を2回繰り返します。Ⅰm9の部分は1番のAメロでも登場した「語り」のような歌詞が入る部分です。
後半は進行自体は1番のAメロとほぼ同様となります。
Bメロ
Key = C#m
B-1
前半8小節と後半8小節で分けられます。
前半、♭Ⅲが初めて登場することで雰囲気が変わっています。ここでストリングスも入り、和声的な広がりが一気に出ますね。
進行としてはSD→D→T→D、SD→D→T、と単純です。前半は前半でしっかりと終わった感じを出しています。
後半は場面が完全に変わり、若干早口なここまでと違ってメロディの音価がかなり長くなります。進行は既に出てきているものとほとんど同じですが、旋律的ですね。
B-2
♭Ⅲ・♭Ⅶ/Ⅱ・|Ⅰm・Ⅴm/♭Ⅶ・
♭Ⅵ・♭Ⅲ/Ⅰ・|Ⅳm7・Ⅱm7 Ⅴ7
Ⅰm・Ⅴm・|♭Ⅵ・♭Ⅲ・
Ⅳm・♭Ⅲ・|♭Ⅶ・Ⅰm・
♭Ⅵ・・・|♭Ⅶ・Ⅰm・
♭Ⅵ・♭Ⅶ・|Ⅰm7・・・
( 原曲のキーで見る → B-2 )
Aメロ同様、1番とは完全に異なります。
1番と同じで、Bメロになると和声的な広がりが出ています。というより、この部分は同主調のメジャーキー(Eメジャー)と捉えていいかもしれません。
最初の4小節を書き換えると以下のようになります。
Key = E
Ⅰ・Ⅴ/Ⅶ・|Ⅵm・Ⅲm/Ⅴ・
Ⅳ・Ⅰ/Ⅲ・|Ⅱm7・Ⅶm7 Ⅲ7
カノン進行ですね。この部分が和声的で、少し明るくも感じる理由の一つです。調性の曖昧な、独特の雰囲気でBメロが進んでいきます。
Bメロ最後の4小節は1番のBメロと同じ進行で、サビに繋がっていきます。
サビ
Key = C#m (サビ-1,2) / Dm (サビ-3)
♭ⅥM7・♭Ⅶ・|Ⅰm・Ⅴm7・
♭ⅥM7・♭Ⅶ・|Ⅰm・♭Ⅶm7 ♭Ⅲ
♭Ⅵ・♭Ⅶ・|Ⅴ・Ⅰm・
♭Ⅵ・♭Ⅶ・|Ⅰm・・・
♭ⅥM7・♭Ⅶ・|Ⅰm・Ⅴm7・
♭ⅥM7・♭Ⅶ・|♭Ⅲ・Ⅴ・
♭Ⅵ・♭Ⅶ・|Ⅴ・Ⅰm・
♭Ⅵ・♭Ⅶ・|Ⅰm7・・・
ここまででも何度か登場している、♭Ⅵ→♭Ⅶ→Ⅰmを軸にした進行です。前半8小節と後半8小節でほとんど同じ進行になります。
♭Ⅵ→♭Ⅶ→Ⅴ→Ⅰmの進行はメジャーキーでいう4536の3がメジャーになったもので、いわゆる「王道進行」の変化形と考えられます。
また、前半8小節と後半8小節の違いは、4小節目と12小節目です。
4小節目は♭Ⅶm7→♭Ⅲというノンダイアトニックコードを含む進行ですが、その先の♭Ⅵから見るとツーファイブ(ワン)の素直な形です。♭Ⅶmは同主調のメジャーキーでいうドミナントマイナーですね。
一方12小節目は♭Ⅲ→Ⅴとなっています。その先の♭Ⅳまで含めると、進行中に♭Ⅶ→Ⅶ→Ⅰという半音のラインが見えてきます。印象に残る進行です。
サビ-3
3回目、最後のサビは半音上に転調してDマイナーになります。さらに、後半8小節の進行をもう一度繰り返し、アウトロに繋がります。
|
|
間奏
Key = C#m
♭Ⅲ・♭Ⅶ/Ⅱ・|Ⅰm・Ⅴm/♭Ⅶ・
♭Ⅵ・♭Ⅲ/Ⅴ・|Ⅳm・Ⅱm7 Ⅴ7
Ⅰm・Ⅴm/♭Ⅶ・|♭Ⅵ・♭Ⅲ/Ⅴ・
Ⅳm7・♭Ⅲ・|(2/4) ♭Ⅶ・
♭Ⅲ・・・|N.C.
( 原曲のキーで見る → 間奏 )
2番のサビが終わった後の間奏です。2番のBメロとほとんど同じ、メジャーキーとも捉えられる進行です。
ベースラインが♭Ⅲ→Ⅱ→Ⅰ→♭Ⅶ→Ⅵ→Ⅴ→Ⅳ、5小節目からはⅠ→♭Ⅶ→♭Ⅵ→Ⅴ→Ⅳ→♭Ⅲ、と順次進行していてよりスムーズな進行に感じられます。
♭Ⅲで終わっていますが、同主調のメジャーキーのⅠです。その後N.C.の間が入り、転調した最後のサビに繋がります。
アウトロ
Key = Dm
最後のサビの後なので、キーはDマイナーです。
Bメロ同様、同主調のメジャーキー(Fメジャー)と捉えられます。最後も明るく終わっているようにも聞こえますね。書き換えると以下の通り。
Key = F
Ⅳ・Ⅴ・|Ⅰ・Ⅲ7・
Ⅳ・Ⅴ・|Ⅵm・Ⅲ・
Ⅳ・Ⅴ・|Ⅰ・Ⅲ7・
Ⅳ・Ⅴ・|Ⅰ・・・
こちらの表記の方がしっくりくるかもしれません。SD→D→Tと、ノンダイアトニックコードであるⅢを組み合わせた進行です。
メジャーキーのトニックで楽曲が終わっています。
最後に
今回は 黒い羊/欅坂46 でコード進行を学びました。
2番が単純な繰り返しではないこともあって、中々なボリュームでした。採譜に怪しいところも多少あるかもしれません。
ガラスを割れ!でも感じましたが、欅坂46は「王道アイドル」とは少し違う独自の路線を進んでいきますね。ロッキンに出演しているイメージが強いです。
これからもこのような方向で突き進んでいくのか、今後も期待です。