RAIです。
音楽理論について学ぼうとしたら「ダイアトニックコード」や「ダイアトニックスケール」という言葉を見たことがある人は多いはず。きちんと意味は分かりますか?
今回は「ダイアトニック」について誰にでも分かるように解説していきます。
言葉の意味
「ダイアトニック」は英語
英語で表記すると Diatonic となります。
この単語には、「全音階の」という意味があります。全音階については後述します。
- ダイアトニックスケール = Diatonic Scale
Scale は「音階」ですので、日本語では「全音階の音階」、すなわち「全音階」とあらわせます。「頭痛が痛い」みたいになっていますが、言語の違いなので仕方ないですね。
- ダイアトニックコード = Diatonic Chord
Chord は「和音」ですので、日本語では「全音階の和音」、こちらは日本語の単語ではうまくあらわせません。「ダイアトニックコード」という単語がよく使われるのはそういう理由もあるかもしれませんね。
- ダイアトニックスケールは日本語で「全音階」
- ダイアトニックコードは日本語の単語ではうまくあらわせない
ダイアトニックスケールとは
ダイアトニックスケールと全音・半音
ダイアトニックスケール(全音階)とはどのような音階なのでしょうか。
この音階は1オクターブに7つの音を使って、全音が2つ・半音・全音が3つ・半音、というように並べた音を使った音階のことです。ちなみにどの音から始めるかは関係ありません。
「半音」とはピアノの鍵盤で隣り合うようなCとC#や、EとFなどの関係をいいます。「全音」は半音2つ分のことです。
Cから順番に12個の音全てを並べると以下のようになりますが、
C・C#(D♭)・D・D#(E♭)・E・F・
F#(G♭)・G・G#(A♭)・A・A#(B♭)・B
これをCを基準に上のルールに当てはめます。半音は隣の音、全音は半音2つ分の音です。
すると、
C・D・E・F・G・A・B
Cから始まるCメジャースケールになりました!実はメジャースケールはダイアトニックスケールの1つにあたるのです。この音を使う音階をAから見るとAマイナースケールになりますが、マイナースケールも同じようにダイアトニックスケールの1つにあたります。
- ダイアトニックスケールは1オクターブに7音で、全音2つ・半音・全音3つ・半音、でできた音を並べた音階
- 半音は隣り合う音の関係のことで、CとC#や、EとFなど
- 全音は半音2つ分のこと
- ダイアトニックスケールであるかどうかには、音階がどの音から始まるかは関係ない
- メジャースケールはダイアトニックスケールの1つである
- マイナースケールも同様にダイアトニックスケールの1つ
音の呼び方
全音階には、音の順番で呼び方があります。音度と言ったりします。ここではダイアトニックスケールの1つであるCメジャースケールで考えます。Cメジャースケールの音は以下の通り。
C・D・E・F・G・A・B
音度は主音との関係で呼び方が決まるため、ここでは基準としてCを主音とします。すると音の呼び方は以下のようになります。
- C : ⅰ度音 = 主音
- D : ⅱ度音 = 上主音
- E : ⅲ度音 = 上中音
- F : ⅳ度音 = 下属音
- G : ⅴ度音 = 属音
- A : ⅵ度音 = 下中音
- B : ⅶ度音 = 導音
主音、下属音、属音、導音辺りは知っておいて損はないですね。
- ダイアトニックスケールには音の順番で音度という名前がある
- 音度は基準である主音との関係で呼び方が決まる
ダイアトニックスケールとモード
音階の始まりの音は関係なく、ルールに当てはまる音を並べた音階が全音階であると述べました。「CDEFGAB」をCから始めればCメジャースケール、Aから始めればAマイナースケールです。他の音から始めるとどうなるのでしょうか。
7つの音のどの音を基準にして始めるかを変えれば、当然ながら全音と半音の順番が変わります。このように基準にする音によってつくられる音階が変わります。
CDEFGABの音を使った場合は以下の通り。
- Cアイオニアンスケール : CDEFGAB
- Dドリアンスケール : DEFGABC
- Eフリジアンスケール : EFGABCD
- Fリディアンスケール : FGABCDE
- Gミクソリディアンスケール : GABCDEF
- Aエオリアンスケール : ABCDEFG
- Bロクリアンスケール : BCDEFGA
使われている音は全てCメジャースケールのものですが、基準にする音の違いで半音、全音の順番が変わり7種類の音階になります。また、他のキーでも同じ半音、全音の関係で7種類の音階になります。
ちなみにアイオニアンスケールはメジャースケール、エオリアンスケールはマイナースケールとそれぞれ同じ音階になりますね。
この辺りの話はモード(旋法)のことも絡んできてややこしいので、追々書き加えます。
- ダイアトニックスケールのどの音を基準にして始めるかを変えれば、全音と半音の順番が変わって7種類の音階になる
- アイオニアンスケールはメジャースケール、エオリアンスケールはマイナースケールとそれぞれ同じ音階になる
ダイアトニックコードとは
定義
ダイアトニックコードとは、ダイアトニックスケール上の各音からそのスケールで成り立つ和音のことを言います。三和音(トライアド)の形と四和音の形があります。
三和音とは、3度で重ねた3種類の構成音から成り立つコードです。四和音とは、三和音に加えて6~7度の音を1つ重ねたコードです。
例えばCメジャースケールとAマイナースケール(ナチュラルマイナースケール)のスケールの構成音は同じですから、つくられるダイアトニックコードも結果的に同じになります。
- ダイアトニックコードとはダイアトニックスケールの音で成り立つ和音
- 三和音の形と四和音の形がある
- 三和音とは3度で重ねた3種類の構成音から成り立つコード
- 四和音とは三和音に6~7度の音を1つ重ねたコード
- CメジャースケールとAマイナースケール(ナチュラルマイナースケール)の構成音は同じなので、ダイアトニックコードも結果的に同じになる


メジャーダイアトニックコード
メジャースケールからつくられるダイアトニックコードです。ディグリーネーム表記 : Cメジャーとしたときのコードネーム : 構成音(音が低い方から)、という順に見てみます。

- Ⅰ : C : CEG
- Ⅱm : Dm : DFA
- Ⅲm : Em : EGB
- Ⅳ : F : FAC
- Ⅴ : G : GBD
- Ⅵm : Am : ACE
- Ⅶm-5 : Bm-5 : BDF
- Ⅶの三和音のみマイナーフラットファイブになる
マイナーダイアトニックコード
マイナースケールからつくられるダイアトニックコードです。マイナースケールは3種類あるため、マイナーダイアトニックコードも3種類となります。ディグリーネーム表記 : Aマイナーとしたときのコードネーム : 構成音(音が低い方から)、という順に見てみます。
ナチュラルマイナースケール
- Ⅰm : Am : ACE
- Ⅱm-5 : Bm-5 : BDF
- ♭Ⅲ : C : CEG
- Ⅳm : Dm : DFA
- Ⅴm : Em : EGB
- ♭Ⅵ : F : FAC
- ♭Ⅶ : G : GBD
ハーモニックマイナースケール
- Ⅰm : Am : ACE
- Ⅱm-5 : Bm-5 : BDF
- ♭Ⅲaug : Caug : CEG#
- Ⅳm : Dm : DFA
- Ⅴ : E : EG#B
- ♭Ⅵ : F : FAC
- Ⅶm-5 : G#m-5 : G#BD
メロディックマイナースケール
- Ⅰm : Am : ACE
- Ⅱm : Bm : BDF#
- ♭Ⅲaug : Caug : CEG#
- Ⅳ : D : DF#A
- Ⅴ : E : EG#B
- Ⅵm-5 : Fm-5 : F#AC
- Ⅶm-5 : G#m-5 : G#BD
- マイナースケールは3種類あるため、マイナーダイアトニックコードも3種類
- 3種類のマイナースケールの違いはⅵ度音、ⅶ度音のため、その音が含まれるコードが変化する
最後に
今回は「ダイアトニック」について学びました。
記事を書くにあたって、本やサイトなど色々な資料を読みながら自分の中で噛み砕いていった結果、結構な時間がかかりました。あまり意味について厳密に用いられることもない言葉ですが、雰囲気だけでも知っておくといいですね。
それは解釈がおかしい!というところなどありましたらTwitterで教えてください。とても喜んで修正します。