RAIです。
コード進行などの音楽理論の話だと、Ⅰ Ⅳ Ⅴ Ⅵ などのローマ数字や、「ディグリーネーム表記」なんて言葉を見たり聞いたりすると思います。ただ、この数字や言葉、厳密にはどういう意味なのかご存知でしょうか?
今回は「ディグリーネーム」について誰にでも分かるように解説していきます。
言葉の意味
「ディグリーネーム」は英語
英語で表記すると Degree Name となります。
- Name
そのままなので分かりますね。「名前」のことです。何の名前なのか、ということになりますが、Degree とは何でしょう?
- Degree
この単語には、温度などで使う「度」という意味があります。ちなみに他には「程度」や「級」「学位」などといった意味もあります。この意味から、Degree Name を訳すと「何度であるか示す名前」ということになります。
「ディグリーネーム」を日本語であらわす時は、「度数表記」という言い方をします。
- ディグリーネームは「何度であるか示す名前」
- 日本語では「度数表記」
音楽での「度」
音楽の話で出てくる「度」という言葉は、温度や角度をあらわすわけではありません。「音程」の単位になります。「音程」とは2つの音の高さの距離のことをいいます。
同じ高さの2つの音を「1度」として、高さの距離が開いていくにつれて2度、3度と度数が増えていく仕組みです。例えば「ド」の音を基準にすると「ド、レ、ミ」は「1度、2度、3度」とあらわすことができます。「8度」で1オクターブ上の「ド」になります。
また、音程の表記には「1度、2度」などの数字の前に、完全・長・短・増・減 といった言葉が組み合わされることもあります。
- 音楽での「度」は「音程」の単位
- 「8度」で1オクターブ上の音
- 完全・長・短・増・減 を組み合わせる
ローマ数字の意味と使う理由
ディグリーネームにおけるローマ数字
ディグリーネーム(度数表記)においてローマ数字は何を意味しているのでしょうか。
この数字は、任意のキー(調)の中で、何番目の音であるかを示す数字です。また、コード(和音)のことをあらわして、進行を示したり、その分析をすることなどに多く用いられます。
これは、コードの機能が「コードそのもの」ではなく「キーの中での何番目の音のコードであるか」によって変わるものだからです。
- ローマ数字は「そのキーで何番目の音か」を示す数字
- コード進行を示したり、分析したりするのに使われることが多い
- コードの機能は「キーの中で何番目の音のコードであるか」で変わる
機能でコードを見る例
例えばCメジャーのキーでは
- Ⅰは C
- Ⅳは F
を示します。また、Fメジャーのキーでは
- Ⅰは F
- Ⅳは B♭
を示します。それぞれのキーでの1番目、4番目の音を挙げました。
Cメジャーで「F」というコードはサブドミナントにあたりますが、Fメジャーで「F」というコードはトニックにあたります。同じ「F」というコードでもキーによって機能が違います。これでは「F」という表記でコードの機能が分かりませんね。
こういう場合は、
- CメジャーではⅣ
- FメジャーではⅠ
という表記にして相対的に見ると、同じ「F」というコードを機能で示すことができます。
- ローマ数字のディグリーネーム表記によって、コードを相対的に見ることができる
コード進行でのディグリーネーム
実際のコード進行での例
簡単な進行を例に挙げてみます。
C・G・Am・Em
上記のキーはCメジャーです。では次の進行を見てみましょう。キーはFメジャーです。
F・C・Dm・Am
ほとんど違うコードを使っている進行ですね。共通するのはAmというコードだけで、違うタイミングで登場しています。これだけでは全然違う2つの進行に見えます。
ですが実は、この2つの進行は同じコード進行なんです。カノン進行の前半部分ですね。ディグリーネームで表記してみます。
Ⅰ・Ⅴ・Ⅵm・Ⅲm
共通して登場していたAmというコードは、CメジャーでのⅥmであり、FメジャーでのⅢmである、ということでした。
違うコードばかりを使っているように見えても、実際は同じコード進行が別のキーであらわされているだけ、ということはよくあります。このように、コード進行を本質的に捉えるためにはディグリーネームの表記によって相対的に見ることが必要なのです。
- 違うコードばかりを使っていても同じコード進行であることはある
- コード進行を本質的に捉えるためには、ディグリーネーム表記で相対的に見ることが必要
最後に
今回は「ディグリーネーム」について学びました。
コード進行、音楽理論について学ぶうえでは知っていることは必須ですので、このローマ数字の表現には慣れておきましょう。それだけで音楽理論について知識、可能性をとても広げることができます。